ワンルーム / 戸嶋 歩

月光がさしこむ
本来の使い方ではないから
ベッドが狭いと思う
やわらかくて少しつめたい肩にふれる
いつのまにか
きみの香りがシーツ一面に染みている
明日ねむるときまで
同じつよさで残っていることを想う

きみをいま揺り起こして
夢の内容をおしえてもらうような
上手なコーヒーの淹れ方をたずねるような
勇気のないわたしは
黄色いビスケットを代わりに口に運ぶ
ほろほろと
わたしの水分をビスケットが奪う