土地のことば / 篠尾 早那

その土地にしかない
細かな言葉の感覚があって
それが伝わらない寂しさは
晴れの日も雨の日も
変わらず素知らぬ顔で立つ
カーネルサンダースに似ている

この土地では
手袋をつけることはあっても
履くことはなくて
マフラーがいずいと騒ぐこともなく
雪のない冬が終わる

雨がカーネルサンダースを
すぐに削らないように
雪のふらない冬が来るたびに
わたしはゆっくりと
身に染みた言語を隠して
この土地の感覚になれてゆく