2023 機関誌紹介

機関誌第9号を2023年11月に発行します。
それに際して、会員の詩篇から一部抜粋して紹介いたします。
※頒布に関する詳細情報はおしらせのページをご確認ください。

作品紹介

有島 みこ
機関誌第9号紹介画像 | 私の生活は綺麗でもおいしくない おいしい生活になってもいいの? いいよ、と一番星が輝いた ここは星が見えるから、いいよ 有島みこ「背伸び」より

二三川 練
機関誌第9号紹介画像 | まだ言葉を知らないころの はちきれそうな感情の津波に泣いている その涙のひとつぶひとつぶが 掘るべき砂をかためてゆく 二三川練「青い旅」より

禰覇 楓
機関誌第9号紹介画像 | あの日 テトラポッドの隙間に落とした 甘すぎるチューハイの缶が もしかしたら さかなの巣になっていたりして 禰覇楓「亡霊」より

戸嶋 歩
機関誌第9号紹介画像 | 一カートンをかぞえれば ほとんど一人分の骨の数なのだから まろび出ているのは 誰かの肋骨なのかもしれない 戸嶋歩「瀝青に墓場」より

穂高 遊
機関誌第9号紹介画像 | 風にゆれる深緑のきらめきに必要なものは、 アスファルトの隙間とたくさんの陽の光と時々の雨だけで、 ぼくの眼差しなんてなんの意味もない。  きみはひとりでここに立ち、なにものもかえりみず、 空をゆるやかに撫でている。 穂高遊「マルベリー」より

志邑 左記
機関誌第9号紹介画像 | 古地図とかさね合わせ いまと同じ場所を見つけては 嬉しくなるみたいに 掌に浮いた毛細血管をかさね合わせてみる あなたのは緑色にみえて わたしのはあなたの手で見えない 志邑左記「動脈」より